
「人が足りない」は、もう特別な話ではありません
「募集をかけても、なかなか人が来ない」 「ベテランが辞めてしまい、引き継ぎが追いつかない」 「少ない人数で回しているので、一人でも休むと現場が止まる」 「事務仕事に追われて、遺族との打合せに十分な時間をかけられない」
葬儀社の経営者や幹部の方から、こうしたお声をいただくことが本当に増えました。
日本全体で労働人口が減り続けるなか、葬儀業界も例外ではありません。24時間体制で動く必要がある葬儀社にとって、「人が足りない」は経営の根幹にかかわる問題です。
採用を強化する、待遇を改善する――もちろんそれも大切です。ただ、それだけではこの問題は解決しません。 「少ない人数でも、今と同じかそれ以上のサービスを提供できる仕組み」 を作ることが、これからの葬儀社経営には欠かせなくなっています。
この記事では、「人手不足」という課題に対して、ITの力でどんなことができるのかを、具体的にご紹介します。
そもそも、なぜ「人が足りない」のか
原因は大きく3つあります。
① 業界全体の高齢化と若手不足
葬儀業界は「経験がものを言う」仕事です。それだけに、長年にわたってベテランの力に頼ってきた部分が大きいのが実情です。しかし、そのベテランたちが定年を迎え、次の世代が十分に育っていないケースが増えています。加えて、若い世代にとって葬儀業界は「よく分からない業界」という印象もあり、そもそも応募自体が少ないという声も聞かれます。
② 業務量の多さと幅の広さ
葬儀社の仕事は、ご遺族との打合せや式の運営だけではありません。見積の作成、発注、スケジュール調整、書類作成、請求処理、会員管理、アフターフォロー――。事務的な業務が非常に多く、現場のスタッフがこれらを兼任していることも珍しくありません。結果として、一人あたりの業務量が膨れ上がり、疲弊してしまうのです。
③ 属人化(特定の人にしかできない仕事が多い)
「この業務はあの人にしか分からない」「あの人がいないと施行が回らない」。こうした状態を「属人化(ぞくじんか)」と呼びます。ベテランの経験や勘に頼った運営は、その人が休んだり辞めたりした途端に、業務が立ち行かなくなるリスクを抱えています。
「人を増やす」前に、「仕事を減らす」という発想
人手不足への対策として、多くの方がまず「人を採る」ことを考えます。もちろんそれは正解のひとつです。しかし、今の採用市場では、思い通りに人が採れないのが現実です。
そこで大切になるのが、「そもそもの業務量を減らす」 という発想です。
葬儀社の日常業務を改めて見渡すと、本来スタッフが時間をかけるべき仕事と、仕組みやシステムに任せられる仕事が混在していることに気づきます。
たとえば、以下のような仕事はどうでしょうか。
スタッフがやるべき仕事(=「人の力」が活きる仕事)
ご遺族の想いに寄り添った打合せ、式の演出や提案、お困りごとへの対応、アフターフォローでの心配り。これらは人間にしかできない、葬儀社の価値そのものです。
システムに任せられる仕事(=「仕組みの力」で効率化できる仕事)
見積書の作成・修正、施行情報の入力・転記、スケジュールの管理と共有、発注書や請求書の作成、会員情報の管理と検索、日報や報告書の作成。これらは、正確さとスピードが求められる反復作業であり、まさにITが得意とする領域です。
事務作業を減らすことは、サービスの質を下げることではありません。むしろ、スタッフが「遺族と向き合う時間」を確保するための、前向きな経営判断です。
ITで「人手不足」を乗り越える、3つのアプローチ
では、具体的にどのようなIT活用が効果的なのでしょうか。葬儀社にとって現実的で、すぐにイメージしやすい3つのアプローチをご紹介します。
アプローチ① 情報の「一元管理」で、探す・聞く・確認する時間をなくす
「あの施行の情報、どこにある?」「この会員さんの連絡先は?」「先月の売上データ、誰が持ってる?」
情報がバラバラに管理されていると、必要な情報を探すだけで多くの時間が奪われます。Excelのファイルが複数あったり、紙の台帳とパソコンのデータが別々だったり、担当者の頭の中にしか情報がなかったり。
こうした状態を解消するのが、顧客管理・施行管理・売上管理をひとつにまとめた基幹システムです。ひとつの画面から、すべての情報にアクセスできるようになれば、「探す・聞く・確認する」という見えないコストが大幅に減ります。
新人スタッフでも、システムを見れば必要な情報がすぐに分かる。これは、属人化の解消にも直結します。
アプローチ② 見積・打合せの「デジタル化」で、作業時間を半分にする
葬儀社の打合せの場面を思い浮かべてください。紙のカタログやパンフレットを広げ、項目を一つひとつ説明しながら、手書きやExcelで見積書を作る。打合せが終わったら、事務所に戻って見積の清書や入力作業をする。内容の修正があれば、最初からやり直し――。
この一連の作業をデジタル化すれば、打合せの場でタブレットを使って見積を作成し、その場で遺族にお見せし、確定した内容がそのままシステムに反映されるという流れが実現します。
事務所に戻ってからの転記作業や清書作業がなくなり、修正もその場ですぐにできます。浮いた時間は、遺族のご要望をもっと丁寧にお伺いすることに使えます。
アプローチ③ AIの活用で、「時間のかかる事務仕事」を自動化する
AI(人工知能)と聞くと、まだ自分たちには関係のない話だと感じるかもしれません。しかし、すでにAIは「難しい判断をする」ためのものではなく、「時間のかかる定型作業を代わりにやってくれるもの」として、身近に使われ始めています。
たとえば、以下のような業務です。
お礼状やあいさつ文の下書きを自動で作成する。過去の施行データから、必要な発注品目を自動で提案する。日報や報告書のひな形を、入力データから自動生成する。
一つひとつは小さな時間の節約でも、毎日の積み重ねで考えると、月に何十時間もの余裕を生み出す可能性があります。
「うちにはまだ早い」は、一番危険な判断
IT活用の話をすると、「うちの規模ではまだ早い」「今のやり方でなんとか回っている」というお声をいただくこともあります。
しかし、人手不足は今後さらに深刻化します。「今はなんとかなっている」としても、ベテランスタッフがあと一人でも抜ければ、急に立ち行かなくなるかもしれません。
ITの導入は、緊急時に慌てて行うものではなく、余裕があるうちに、計画的に進めるものです。追い込まれてから始めると、判断を急がざるを得ず、結果的にコストも労力も余分にかかってしまいます。
「まだ大丈夫」と感じている今こそが、実は一番良いタイミングなのです。
まとめ:「人の力」と「仕組みの力」の両輪で、これからの葬儀社経営を
人手不足は、採用だけでは解決しない時代になっています。限られた人数で質の高いサービスを提供し続けるためには、「人の力」と「仕組みの力」を組み合わせる経営が必要です。
スタッフにしかできない仕事に集中してもらい、それ以外はシステムの力で効率化する。そうすることで、スタッフの負担が減り、遺族と向き合う時間が生まれ、結果としてサービスの質も、スタッフの働きがいも向上します。
ブリッジ葬儀・ソクミツのご紹介
弊社シンクエイトでは、葬儀社・互助会の「仕組みづくり」をITの面から支援しています。
ブリッジ葬儀は、受注管理・施行管理・顧客管理・集客支援をひとつにまとめた、葬儀社のためのクラウド型基幹システムです。世界中で信頼されているクラウドプラットフォーム「Salesforce」の上に構築されており、葬儀業界で世界唯一のSalesforceパートナー企業として、現場の実務に即した機能を提供しています。情報の一元管理や属人化の解消に、大きく貢献します。
また、現在開発中のソクミツは、打合せの場で使える見積アプリケーションです。タブレットを使って、ご遺族の目の前で分かりやすく見積を作成でき、転記作業や清書の手間を大幅に削減します。
「少ない人数でも、しっかり回る仕組みを作りたい」という葬儀社様は、ぜひお気軽にご相談ください。
葬儀DXコラムは、葬儀社・互助会の経営課題をITで解決するヒントをお届けする情報メディアです。
