Salesforce 基礎

データ共有モデル|誰がどのレコードを見られるか

「ユーザー A は山田家のレコードが見えるが、ユーザー B には見えない」 — このアクセス制御は Salesforce の データ共有モデル で決まります。プロファイル / 権限セットが「何ができるか」を決めるなら、共有モデルは「どのレコードに対してできるか」を決めます。

共有モデルの 4 つのレイヤー

┌────────────────────────────────────┐
│ ① 組織の共有設定 (OWD)              │  ベースルール (デフォルトのアクセス)
├────────────────────────────────────┤
│ ② ロール階層 (Role Hierarchy)        │  上位ロールは下位のデータが見える
├────────────────────────────────────┤
│ ③ 共有ルール (Sharing Rule)          │  特定条件で追加共有
├────────────────────────────────────┤
│ ④ 個別共有 (Manual Sharing)          │  個別レコード単位の共有
└────────────────────────────────────┘

① 組織の共有設定 (Organization-Wide Default / OWD)

各オブジェクトに対して デフォルトのアクセスレベル を決めます。

Setup → セキュリティ → 共有設定

設定値

設定

意味

公開・参照・更新可能

全員が閲覧・編集できる

公開・参照のみ

全員が閲覧できるが編集は所有者のみ

非公開

所有者と上位ロールだけ閲覧・編集可

推奨設定の指針

オブジェクト

推奨 OWD

家族 / 会社 (Account)

公開・参照・更新可能 (葬儀社は当家情報を全員で共有)

お客様 (Contact)

親 (Account) の設定を継承 (推奨)

施行情報 (Ceremony)

公開・参照・更新可能

伝票 (Slip)

公開・参照・更新可能 (経理は全担当の伝票を見る必要あり)

入金 (Payment)

公開・参照・更新可能

商品マスタ

公開・参照のみ (担当者は閲覧可、編集は管理者のみ)

ブリッジ葬儀パッケージは「葬儀社は当家データを社内で共有する」前提で、公開・参照・更新可能 が標準。プライバシーポリシー上の制限がある場合は組織で調整。

② ロール階層 (Role Hierarchy)

組織図のような 階層構造 で、上位ロールに所属するユーザーは、下位ロールの所有レコードが自動で見えます。

ブリッジ葬儀での想定

社長
  ├─ 営業部長
  │   ├─ 本店マネージャー
  │   │   ├─ 本店スタッフ A
  │   │   └─ 本店スタッフ B
  │   ├─ 札幌マネージャー
  │   │   └─ 札幌スタッフ
  │   └─ 仙台マネージャー
  └─ 経理部長
      └─ 経理スタッフ

この場合:

  • 本店マネージャーは、本店スタッフ A・B の所有レコードが見える
  • 営業部長は、全店舗のレコードが見える
  • 札幌スタッフは、本店スタッフのレコードは見えない (横並び・OWD 非公開時)

ロールの設定

Setup → ユーザー → ロール

  1. 「新規ロール」 で各組織階層を作成
  2. ユーザー編集画面で 「ロール」項目 にロールを割り当て

OWD が「公開」なら、ロール階層に関係なく全員が全レコードを見られます。非公開 のときに初めてロール階層が効きます。

③ 共有ルール (Sharing Rule)

特定の条件に合うレコードを、特定のロール / 公開グループ / プロファイル に追加共有するルール。

例: 経理部に全伝票を共有

OWD が「非公開」の場合でも、共有ルールで「伝票はすべて経理部ロールに参照・編集権を付与」と定義できる。

設定

Setup → セキュリティ → 共有設定 → [オブジェクト] → 共有ルール → 新規

  • 共有元: 「すべてのレコード」 or 「条件マッチ」
  • 共有先: ユーザー / ロール / 公開グループ
  • アクセスレベル: 参照のみ / 参照・編集

④ 個別共有 (Manual Sharing)

個別のレコードを、特定のユーザーに 手動で共有 します。

レコード詳細画面 → 共有設定 → 共有追加

ユースケース

  • 「この施行は特別に営業部長に編集権を付与したい」
  • 「経理外部委託の人に、特定 1 件の伝票だけ参照させたい」

注意

  • 個別共有はメンテナンスが大変なため、例外用 として位置付け
  • 規模が大きくなったら共有ルールに格上げ

項目レベルセキュリティ (Field-Level Security)

レコードへのアクセス権は OK でも、特定の項目だけは見せたくない / 編集させたくない ことがあります。

例:

  • 入金レコードのうち、「カード手数料」項目 は経理だけが見られる
  • お客様の 「特記事項 (機密)」項目 は管理者だけが見られる

設定

Setup → オブジェクトマネージャ → [オブジェクト] → 項目とリレーション → [項目] → 項目レベルセキュリティの設定

または、プロファイル / 権限セットの「項目アクセス」設定からも管理可。

「表示」と「読み取り専用」

設定

意味

表示 にチェック

この項目が見える

読み取り専用 にチェック

見えるけど編集できない

両方オフ

項目自体が画面に出ない (非表示)

共有モデルとブリッジ葬儀の標準設定

ブリッジ葬儀パッケージは、葬儀社の標準的なデータアクセスを前提に設定されています。

標準的な設定

項目

標準値

OWD

ほぼ「公開・参照・更新可能」

ロール階層

組織で柔軟に設定

共有ルール

なし (デフォルト共有で足りる)

項目レベルセキュリティ

パッケージ側で機密項目は管理者のみ

組織でのカスタマイズ余地

  • 個人情報保護を強化したい → 一部オブジェクトを OWD「非公開」に
  • 支店間で完全分離 → ロール階層を支店単位に + OWD 「非公開」
  • 特定担当のみ顧客情報を見られる → 共有ルールで限定的に配布

「見えるべきデータが見えない」トラブル対応

ユーザーから「○○のレコードが見えない / 編集できない」と相談を受けたら、上から順にチェック:

  1. プロファイル: そのオブジェクトの参照権はある?
  2. 権限セット: 必要な権限セットが割当てられている?
  3. OWD: そのオブジェクトの OWD は?
  4. ロール階層: 該当レコードの所有者と、現ユーザーの位置関係は?
  5. 共有ルール: 該当する共有ルールは?
  6. 項目レベルセキュリティ: 個別項目が非表示になっていない?

これを チェックリスト化 しておくと、対応スピードが上がります。

こんなときは

「このレコードを参照する権限がありません」エラー

  • プロファイル / 権限セットの参照権を確認
  • OWD が「非公開」なら、所有者の確認

「項目 XX が見つかりません」

  • 項目レベルセキュリティで非表示になっている可能性
  • 該当ユーザーのプロファイル / 権限セットで項目アクセスを確認

共有設定が複雑になってきた

  • 公開グループ を活用 (個別ユーザーではなくグループで共有)
  • 権限セットグループ で権限管理を統合
  • ドキュメント化 (誰がどのデータを見えるかをマトリクスで管理)

退職者のデータ

  • ユーザーを 無効化 → ライセンスが空く
  • 所有レコードはそのまま残る (履歴として必要)
  • 必要に応じて所有権移管 (Setup → データ → 一括移管 で一括処理可)

共有モデルとパフォーマンス

複雑な共有 (大量の共有ルール + 細かい階層) は 保存時の処理が重く なります。

  • OWD はできるだけシンプルに (公開ベースが速い)
  • ロール階層は必要最小限の深さ (4-5 段階以内)
  • 共有ルールは多すぎないように

次に進む


📅 最終更新日: 2026-06-16