機能の深掘り
伝票の設計思想|「請求先ごとに 1 通」の考え方
ブリッジ葬儀の 伝票 (Slip) には、他社の葬儀システムとは異なる 重要な設計思想 があります。これを理解しておくと、見積・請求・供物一覧の運用がスッと腑に落ちます。担当者だけでなく、システム検討中の方にも知っておいて頂きたい考え方です。
ひとことで言うと
「請求先ごとに 1 通の伝票」を作る。 商品が葬儀品でも供物でも、伝票の中に混在させて OK 。 供物一覧の集計は「商品マスタの 供物フラグ が立っているもの」を横断で拾うので、自動で揃う。
1 件の葬儀で発生する伝票のイメージ
例: 松岡家の葬儀施行 で、当家からの直接の請求と、参列者からの供花を扱うケース。
[施行情報] [伝票 (請求先ごと)] [明細] [供物一覧 PDF]
───────────────── ───────────────────────── ─────────────────── ──────────────
松岡家 葬儀施行 ───▶ 葬儀 (当家向け) ───▶ 商品 (祭壇) ─┐
商品 (棺) │
商品 (料理) │
商品 (返礼品) │
商品 (供物) ◀ 供物 ─────┤
│
───▶ 供花 (ご友人 A) ───▶ 商品 (供物) ◀ 供物 ─────┤ 全伝票の
│ 供物明細を
───▶ 供花 (勤務先 B) ───▶ 商品 (供物) ◀ 供物 ─────┤ 横断集計
商品 (供物) ◀ 供物 ─────┤
│
───▶ 供花 (同級生 C) ───▶ 商品 (供物) ◀ 供物 ─────┘
ポイントは:
- 伝票は 請求先ごとに 1 通 。当家用 1 通 + 供花贈呈者 3 名分の伝票 = 計 4 通
- 当家向けの見積/請求の中に「供物」商品を入れても OK (例: 自社買付の祭壇供物など)
- 「供物一覧」は商品マスタのフラグで拾う 、伝票の種類で分けない
他社システムとの違い
多くの他社葬儀システムは、以下のような構造になっています。
他社方式: 「葬儀請求」と「供物請求」を別画面で
[施行情報]
├─ 葬儀請求 (画面 1)
│ └─ 葬儀品の明細だけ
└─ 供物請求 (画面 2)
└─ 供物の明細だけ
↑
ここから供物一覧を出力 (構造的に分離されているため)
これは 「供物一覧 PDF を出すために、データ構造の段階で『供物』を分離している」 からこうなっています。
他社方式のデメリット
課題 | 内容 |
|---|---|
入力画面が 2 つ | 葬儀と供物で行ったり来たりが必要 |
当家分の供物を扱いにくい | 「当家自身が用意する供物」の入れ場所が曖昧 |
集計のために合算操作が必要 | 葬儀請求 + 供物請求 を合算する処理が別途必要 |
柔軟性が低い | 「供物だけの請求書」「供物入り当家請求書」のような混在パターンに弱い |
ブリッジ葬儀方式のメリット
① 入力画面が 1 つに統一
請求先ごとに 1 つの伝票エディタで、葬儀品でも供物でも自由に追加できます。「葬儀請求と供物請求の画面切り替え」がありません。
② 当家向け請求書に供物も同居 OK
当家への請求書の中に、自社買付の供物 (祭壇供物・親族供花など) を入れられます。同じ請求書で 1 通として処理。
③ 外部からの供物注文も、シンプルな伝票 1 通
参列者・取引先からの供物注文 (例: ご友人 A の供花) は、その人を 請求先 にした伝票を 1 通作るだけ。葬儀本体の伝票とは分離されているので、混乱しません。
④ 供物一覧は商品マスタが正
「この商品は供物一覧に出すか出さないか」は 商品マスタ側のチェック (Product__c.IsShownOnList__c 「供物一覧に表示」) で制御します。
伝票が当家向けか供花贈呈者向けかに関係なく、供物一覧 PDF は施行情報配下の全伝票 から、フラグが立った商品の明細を 自動集約 します。
つまり「供物一覧の出し分け」のためにデータ構造を分ける必要が無い。これがブリッジ葬儀の核心。
業務シーン別の伝票の作り方
シーン 1: 一般葬 (当家請求のみ・供物なし)
伝票: 1 通 (当家請求) 明細: 祭壇・棺・料理・返礼品 など
供物一覧 PDF: 該当明細無し → 空欄
シーン 2: 当家請求 + 自社供物 (祭壇供物など)
伝票: 1 通 (当家請求) 明細: 祭壇・棺・料理・返礼品 + 「供物」フラグ商品 (祭壇供物・親族供花など)
供物一覧 PDF: 当家伝票内の供物明細 (例: 親族供花 ◯◯) のみ表示
シーン 3: 当家請求 + 参列者からの供物受付
伝票:
- 1 通目: 当家請求 (葬儀代・料理・返礼品 など)
- 2 通目: ご友人 A 請求 (供花 ¥15,000)
- 3 通目: 勤務先 B 請求 (供物 2 点)
- 4 通目: 同級生 C 請求 (供花 ¥10,000)
供物一覧 PDF: 全 4 伝票横断 で「供物」フラグ商品を集約 → 5 件並ぶ
シーン 4: 法人葬 (会社が請求先 + 多数の供花)
伝票:
- 1 通目: 法人 (◯◯株式会社) 請求 (葬儀本体)
- 2 通目以降: 各供花贈呈者の請求 (取引先・関係企業 など)
請求先が会社の場合も、ブリッジ葬儀では Account レコードタイプ「会社」を 請求先 にした伝票として作成。同じ枠組みで運用できます。
伝票区分 (SlipType__c) で「葬儀」と「供物」を分ける
v2.3.0+ では、伝票に 「伝票区分」(SlipType__c) という Picklist が必須で入りました (UI で必須入力)。
値 | 用途 |
|---|---|
葬儀 | 当家への請求 (葬儀本体) |
供物 | 参列者・取引先からの供物注文 |
区分が業務に効くポイント
- 価格タイプの自動継承 — 「葬儀」区分のみ会員価格を継承。「供物」区分は標準価格 (誤適用防止)
- 供物一覧 PDF の対象 —
OfferingConfig__mdtの設定により、どの区分の伝票を集計対象にするか組織で選択 - 集計の見通し — 同じ施行情報に紐づく伝票でも、葬儀と供物を区分で分けることで集計しやすい
同じ「請求先 1 通」の設計を保ちつつ、業務的な意味で 2 種類 (当家請求 = 葬儀 / 外部供物注文 = 供物) を識別できるようにしたのが伝票区分です。
関連するパッケージ機能
このシンプルな設計を活かす機能群:
機能 | 内容 |
|---|---|
| 商品マスタ側で「供物一覧の対象か否か」を制御 |
| 明細レベルでも個別制御可能 (商品の既定値から上書き) |
| 供物一覧 PDF の並び順を明細レベルで指定 (将来バージョン強化) |
| 供物一覧の集計対象とする伝票レコードタイプ (見積 / 請求 / 発注) を組織で選択 |
供物一覧 PDF | 上記の設定を全部踏まえて、施行情報配下の全伝票から該当明細を集約・並び替えして 1 枚に印刷 |
こんなときに「設計思想」が効いてくる
「外部供花の取引先請求書だけ作りたい」
ブリッジ葬儀: 該当供花贈呈者を請求先にした伝票を 1 通作成 → PDF 出力するだけ。当家請求とは独立しているので影響なし。
「当家請求書に供物代も含めたい」
ブリッジ葬儀: 当家伝票の明細に 供物商品を 1 行追加 するだけ。
「同じ施行で複数の供物贈呈者からの注文をまとめて 1 通の請求書にしたい」
ブリッジ葬儀: それぞれの伝票を作って、合算請求 (BillingSummary) にまとめれば 1 通に集約可能 (合算請求書を作る 参照)。
「供物一覧から特定の伝票だけ除外したい」
ブリッジ葬儀: 該当伝票の明細レベルで IsShownOnList__c を OFF にすれば、供物一覧から除外。
まとめ
観点 | ブリッジ葬儀 | 他社一般 |
|---|---|---|
伝票の単位 | 請求先ごとに 1 通 | 葬儀請求と供物請求を別画面で分ける |
当家伝票に供物 | OK (同居可能) | 画面が違うので別 |
入力画面 | 共通 (1 つ) | 葬儀用と供物用 で別画面 |
供物一覧の出力 | 商品マスタの供物フラグ で横断集計 | データ構造で予め分離されているので合算 |
柔軟性 | 高 (混在 OK / 外部請求もシンプル) | 制約あり (型に当てはめる) |
学習コスト | 低 (伝票エディタは 1 つだけ覚えれば良い) | 業務パターンごとに画面の使い分け要 |
ブリッジ葬儀の伝票は、「業務の実態をデータ構造に押し付けない」という考え方で設計されています。葬儀は同じ施行でも、当家請求 / 供花贈呈者 / 法人 / 取引先など多様な請求先が混在しがち。それを 「請求先 = 1 伝票」というシンプルなルール 1 本 で受け止め、横断的な集計 (供物一覧・施行情報の総施行高 など) は タグ / フラグ / 集計フィールド で実現する設計です。
次に進む
- 供物一覧の運用 (供花・供物の管理) — このページの設計を活かした供物業務
- 見積書を作る — 伝票エディタでの実操作
- 合算請求書を作る — 複数請求を 1 通にまとめる方法
- 伝票エディタを使いこなす — 編集の深掘り
📅 最終更新日: 2026-06-16